キリン伝来考

キリン伝来考 (ハヤカワ文庫NF―ライフ・イズ・ワンダフル・シリーズ)
最近本来の趣旨を忘れがち。
先日、弟たちが遊びに来たときに、「なぜGiraffeを日本では伝説上の麒麟と結びつけたのか?」という話になった。その回答になりそうな本。そもそも、伝説上の麒麟も首が長ければこんな疑問を持ちようがないのだが、キリンビールの瓶を見ればわかるとおり、伝説上の麒麟は首は短い。というか首については特徴がない。
この本によれば、Giraffeが中国に伝わったのは明の永楽帝の時代に鄭和がアフリカから持ち込んだのが初めらしく、その時に「この動物があの瑞獣麒麟でございます〜。これも陛下のご威徳によるもの!」と献上者がお世辞言ったのが原因らしい。しかも、「ホンマにこれが麒麟け?」と思っていた人もいたようで、「祖刺法」という、単なるアラビア語の音訳で記している例もあるらしい。
日本でGraffe=麒麟となったのはこの明代の中国経由だろうけれども、これとは別に、「豹とラクダの雑種じゃないの?」という見方(古代アラビアではそう考えられていた)から、「豹駝」という訳語も明治初期にはあったらしい。
ちなみに、現代中国語ではGiraffe=長頸鹿。